楽器ができない勢の疑問

我が家で、楽器が弾けないのは私だけ。
妻も子供たちも、みな弾けてしまう。
私だけ弾けないというのも癪だし、自由に音楽を奏でたいという欲求はあるため、幾度も挑戦はした。
ギター、ベース、ウクレレ、ピアノ、バイオリン、サックス、EWI、オカリナ・・・。
周到に準備をしないと何事も始めたくないという性格なので、愚かにも楽器を用意してから始めるものだから、相当の財産を失ってきたと思う。
近所のハードオフには、オッサンの売った楽器コーナーができているんじゃないかな。
今回は、楽器の素人が、どのような点に壁を感じるのか書いていこう。

 

1. 楽譜が読めない
究極的にはこれだね。
ドは読める。ミも読める。ファ以降は、ミから毎回数える。
 知ってる曲は何とかなるが、知らない曲は読めば読むほど別の曲。

楽器屋で楽譜を見ると、音楽として聴ける曲を弾くためには、ものすごい数の音符を一度に把握する必要があると知ってしまう。
五線譜の下とか上とかにはみ出ている音符も読まねばならない。#やbなどの記号もついている。
音符と音符が弧線で繋がっているケースもある。6/8拍子は、3/4に約分してはいけないらしい。
楽譜の途中にワープポイントがあり、しっかりマッピングしていないと延々同じ箇所を行ったり来たり。

知っている曲の場合は、なんとなくわかることもある。リズムも把握しているからね。
ただ、知らない曲の場合は、どんな曲なのか本当によくわからない。
こうかな・・・と想像した後で実際の曲を聴いてみると全く違うというね。

結局のところ、読めていないのだ。知っている曲は知っているからわかるだけ。

とにかく楽譜というのは、大人から音楽を始めようという人の心を折るようにできているようだ。すべてのオタマジャクシにファとかラとか書くの、面倒くさすぎる。

妻や子供たちに聞くと、そんなに難しいことはないらしい。
楽譜に触れる時間が少ないから慣れていないだけらしい。
でしょうね。

 

2. 耳が肥えてしまった
長年生きているとさまざまなジャンルの一流の音楽を聴いてきているわけで、そういう意味で耳が肥えてきてしまったのも壁のひとつと言えよう。
初心者向け教本をみると、まずは、'ちょうちょう' とか 'カエルの歌' などの簡単な曲が練習曲として並んでいる。
まあ初心者に最適なのだろうし、決してそれらの曲をバカにしているわけではないのだが、自分の弾きたい曲のイメージとかけ離れた曲の数々に心が萎えてしまうのだ。

カエルの歌がやりたくてサックス買う奴はいないのだ。

では、その弾きたい曲をやれば良いではないか、と楽譜を見ると、無数のオタマジャクシが私の心を折りにくる。カエルの歌は今後出てくるたくさんのオタマジャクシへの布石なのか。

楽譜読めないんだっての。

アメイジンググレイスくらいなら曲は知っているし初心者でも懸命に練習すればなんとか弾けたりもするのだが、自分の奏でるアメイジンググレイス(笑)と、私の記憶にあるアメイジンググレイスの間の埋められない溝の深さよ。
耳が肥えているから、耐えられないんだな、自分の出す音に。

 

3. スパルタンな教本
初心者向けと銘打つ教本が多数あるのはなぜだろう。
答えは明白。未だ、初心者向け教本の決定打が出ていないからだ。
楽器の持ち方、姿勢、楽譜の読み方などの簡単な説明のあと、まずは弾いてみよう! と簡単な曲が載っている。実に簡単。ピアノなら指番号もついているので、弾けちゃうのだ。次の曲も使う指を増やした程度で、弾けてしまう。

おお、この教本はすごいな、神本じゃない!? ピアノ向いてる? と喜んだのも束の間。
課題曲として、先ほどまでとは明らかにレベルの違う曲が立ち塞がる。

指番号さっきと違うじゃん!

カエルの歌と課題曲の間を埋める方法が知りたいのだが、ほとんどの教本はダンマリである。
これはアレに似てるね、教科書や参考書の、例題と類題は余裕なのに、章末問題が急に難しいあの感じ。ジャンプしすぎなんだよ。
ひどいのになると、簡単な楽器と楽譜の説明のあとは楽譜のみっていうスパルタンなものもある。

初心者が欲しいのは、一段ずつ階段を登っていく方法
先が長くてもいい。分冊でもいい。
一段ずつ登っていけば、それなりの高さまで登っていけるという安心感が欲しいのよ。
教本というのは、指導者がいることが前提なのだろうか。
楽器を教本のみでマスターするのは不可能なのだろうか。

 

4. レッスンに通うハードル
ということで、最終的にはレッスンに通うということになろう。
私も実際、教本に限界を感じてレッスンに通ったことがある。

このレッスンもね・・・合う人には合うだろうけど、オッサンには合わなかった。
グループレッスンはなかなかキツかった。以前から通っていたであろうグループに入れてもらったのだが、こちらとのレベル差がありすぎて、明らかに迷惑をかけているのがわかる。

背中にびっしょり汗をかいて、何でこんな思いをしてまで楽器をやってんだろう? と結構落ち込んだ。
なので個人レッスンに切り替えたのだが、これはこれで、講師との相性とか、マンツーマンならではの緊張感などで、楽しいと思えなかった。

熱心に教えてくれているのに期待に応えられないもどかしさ。
金払ってんだからそのへんは気にしない、という人には向いているかもしれないけれど、私には無理だったなぁ・・・講師に申し訳なくて。

 

全て言い訳だ。
そんなに簡単に楽器が弾けるようになるわけがない。
音楽の時間は遊ぶ時間と思っていた小学生の私がいけないのもわかっているのだ。

もう、楽器は諦めようと思う。金もプライドも失いすぎた。
オッサンに楽器は無理だったのだ。

口笛。口笛でいいじゃないか。

楽器と言えなくもない。昔から少し自信がある!

と、ブログを書きながら口笛を吹いてみたら、若い時に出た高い音が出せなかった。

まいったな・・・口笛はハードオフに売れない